勝手気ままにイラストコラム

音楽・芸能ネタのイラストコラム。育児マンガ・水彩イラストは「Suiの水彩日記」にて。

原作は夫婦の役割の逆転が大きなテーマ。「あなたには帰る家がある」

金曜ドラマ「あなたには帰る家がある」見てますか?

前回、真弓が夫(秀明)の浮気相手(綾子)の夫(茄子田)と良い雰囲気になるという、まさかの展開が!ますます目が離せません・・・。

 

で、気になって原作を読みました。

そしたら、だいぶドラマと違った印象だったんですよね・・・。

 

原作は山本文緒さんが1994年に集英社から出した単行本。

なんと今から25年くらい前に書かれた小説なんです!

 

ドラマと原作の登場人物設定の違い

佐藤真弓

ドラマ・・・42歳 娘の中学受験のあと旅行会社へ勤め始める

原作・・・28歳 娘(麗奈)が1歳になる頃、保険のセールスレディを始める

 

佐藤秀明

ドラマ・・・40歳(くらい) 住宅メーカー勤務は同じ設定

原作・・・26歳 

 

佐藤麗奈

ドラマ・・・中1

原作・・・1歳

 

真弓の両親

ドラマ・・・母は浮気していた父と離婚

原作・・・父母離婚しておらず

 

茄子田太郎

ドラマ・・・40代後半 痩せていてちょっとねちっこい感じ(ユースケさんの演技でそう見えてます)

原作・・・33歳 小太りで絵に描いたような?スケベジジイ

 

茄子田綾子

ドラマ・・・40代後半

原作・・・30歳くらい

 

茄子田の子供

ドラマ・・・高校生くらいの男の子

原作・・・二人いて長男が4年生。次男が2年生。

 

ドラマでは佐藤秀明・茄子田綾子二人の不倫と、それによって引き起こされる真弓や茄子田の家族との泥沼化が中心です。

最近の見せ場は綾子のサイコぶりですよね。(^ ^;)

 

原作では、それと同時に夫婦の役割の逆転ということが大きなテーマです。

やっぱり90年代だからでしょうかね・・・。

 

原作を読んだら、真弓のイメージは夫を許したあの(元)議員だった!

原作あらすじ

商社勤めに疲れた真弓は、付き合っていた秀明をハメて妊娠、結婚。

出産し、自分の希望通りの専業主婦生活を送っていたはずだった。

しかし24時間言葉の通じない子供相手の日々にどんどん閉塞感を募らせ、やっぱり働きたいと言いだし、保険のセールスレディになる。

しかし段々と秀明の間に距離を感じるうち、秀明の浮気に気がつく。

そしてその相手が秀明の顧客であり自分も仕事で関わりのある、茄子田の奥さんだと知る。

悩む綾子。しかし、やっぱり秀明のことを愛してる。

 

・・・離婚してしまうドラマと違って原作では離婚しません。

 

「専業主婦」が全く自分の思い描いていた理想と違ったのと同様、家族を養う覚悟で働く厳しさを実感する真弓。

しかし結局は「自分が働いて夫と子供を養っていく道」を選ぶのです。

 

そのエネルギッシュさと、夫の浮気も許す器・・・どこかで聞いたことある?

まるで金子恵美(元)議員じゃないですか!

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金子さんは、自分の妊娠中に夫の宮崎(元)議員がグラビアアイドルと不倫したことが世間に知られ、夫はバッシングされた上に辞職することになってしまいましたよね・・・。

妊娠中の浮気(しかも自宅で)という、ゲスと呼ばれても仕方のないことをした夫を許したのですが、世間の理解は得られずに前回の選挙では落選してしまいました。

(やはり今の風潮では、そんな夫とはさっさと離婚した方が応援できると思われるのか、ドラマでも真弓は秀明と離婚する設定にしたんでしょうね。)

 

踏んだり蹴ったりだと思うのですが、夫も反省し、子供の面倒もかなり見ていた(育児休暇とると言っていただけあって?) そうで・・。

金子さんは見るからに「専業主婦」では収まらなさそうですし、女性が子供を産んでもハードな仕事を続けるのは、実際は相当高いハードルがあります。

ましてや政界なんて男尊女卑の権化みたいなイメージ。口では女性登用とか言っているけど、あくまでイメージ戦略(あら、ゲス極の曲名じゃない)の要素がまだまだ大きいのでは・・・。

金子さんは難産だったらしいので、その後赤ちゃんのお世話をするのはかなり大変だったと想像できますし、もし夫を許せたら(これがなかなか難しいけど)、赤ちゃんのお世話をしたり買い物へ行って家事をしたりとかいがいしくしてくれる夫がいたら相当助かりますよね。

一般人と違って、世間が自分のかわりに夫をこれでもかと責め続け、しかも辞職までしたのだから、金子さんも気も済んだのかも?

綾子に心惹かれた秀明と違って、あの宮崎(元)議員は単なる浮気に見えますから。 

ちなみに宮崎(元)議員は今は事業を起こして経営者になっているようです。

けっこう肉食系でアクティブ?なので秀明とはイメージ違いますね。

夫婦の逆転だけではなく、夫同士の「逆転」も見所だった!(ちょっとネタバレ)

以下ちょっとネタバレになります。

 

実は綾子の長男は茄子田の子ではありません。

茄子田はそれを承知した上で、子供ごと綾子を守っていく決意をしたんです。

 

綾子の魔性っぷりは想像の範囲ですが、むしろ茄子田の度量の大きさに驚きました。

単なるモラハラ・スケベおやじかと思いきや、茄子田は綾子のことも、自分の家族のことも愛していて一生守ろうと思っているんです。

 

それに比べると、秀明の頼りなさが浮かび上がってくる・・・。

真弓のことも本気で愛しているのかわからない、綾子のことも最初は無我夢中だったけど、だんだんと引いている。

じゃあ一体なにがしたいの?どうしたいの?

 

茄子田に対して「綾子さんを全然幸せにしていない!」と怒りながら、秀明は妻の真弓を裏切った上に綾子のことまで受け入れられない。

誰のことも幸せにできてないどころか不幸にしてますよね。

 

茄子田は決してモテるタイプではないしそれを自覚しています。

でも、実は彼には「愛」と度量の深さがあったりして・・・。

 

それに気がついた真弓同様「お?」と思いました。

でもやっぱり茄子田は嫌ですが(笑)。

 

実は原作の中で真弓は「茄子田と寝た」と秀明に言います。

それが本当なのかどうかは原作でもわかりません。

ドラマでも真弓が茄子田に心惹かれる場面があったりして、どうなるのか気になります。

 

ドラマの面白さはやっぱり俳優さんと脚本が大きい!

ドラマの真弓役の中谷さんの演技、大好きです。

秀明や茄子田に対して「は?」となる表情とか、綾子の挑発にブチ切れするシーンとか、本当に最高ですね。笑

そして玉木宏さんが、かっこいいのに情けない男がうますぎる・・・。

見ていてイラッとします。

ユースケサンタマリアが演じる茄子田は、原作とはだいぶイメージが違いますが、あのネチネチしたモラハラぶりとか、独自のいやらしさが出ていて、でも憎めない感じもあり。キャスティングがすごいなぁ。

そして影の主役、綾子。

木村多江さんてこういう役うまいですよね。

10周年記念パーティーにまで手作り料理って・・・どんだけ手作りアピールしたいんだよ?ってツッコミいれたくなります。

綾子の役は相当バッシング受けていますが、冷静に考えてみるとちょっと気の毒。

好きになる人とは報われず、秀明から誘われてどんどん好きになっていっても追いかければ追いかけるほど相手は逃げていく・・・。

なんだかちょっとずれていて怖いんですけど、そういう無様さってある意味純粋の裏返しかのかも?

彼女は常に「帰る家がない」覚悟で恋愛しているんです。

 

最後は、どうなるんでしょうね・・・。

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原作が書かれてから25年。

ドラマでは不倫によって引き起こされた2家族の関係に絞られていますけど、原作で描かれていることはそのまま今の夫婦や家族でも考えても古く感じません。

というのは、日本の社会ってその頃からあまり変わっていないんでしょうね。

専業主夫もほとんどいないし、PTAもほぼ女性。

女性の賃金も男性より低いまま。

原作での真弓みたいに夫がいても、家族を養う覚悟で仕事をしている女性も、希少です。

 

原作では色々な逆転の中、立場が変わると色々と違うものが見えてきます。

現実ってそんなものかも。

結局「絵に描いたような幸せ」なんてどこにもない。

置かれた現実の中でどう折り合いをつけて最善の道を探っていくか、それは個々で見つけていくしかないんだなと思います。

 

明日の放送も楽しみです。

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